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NHKニューズ〜社会 痴ほう症 必要治療受けられず

投稿者伊藤孝次 投稿日:2003/11/13(Thu) 10:56

NHKニューズ〜社会
痴ほう症 必要治療受けられず
痴ほうのお年寄の治療をした医師の81パーセントが治療を拒まれたり、意思の確認が出来なかったりした経験を持ち、痴ほうのお年寄りが必要な治療を受けられないでいる可能性のあることが医師や弁護士らの調査でわかりました。 11/13 07:26
【成年後見制度】痴呆性高齢者、知的障害者や精神障害者などの判断能力が不十分な人の保護(財産管理や身上監護)を、代理権や同意権・取消権が付与された成年後見人等が行う制度。申立てできるのは、本人・配偶者・四親等内の親族などですが、身寄りがないなどの理由で申立てる人がいない方のために市(町村)長申立てがあります。

【任意後見制度】高齢者本人が、判断能力の衰えた場合に備えて、あらかじめ自分で後見人を選んでおき、将来の生活支援や看護、財産の管理などを頼んでおける制度。……家庭裁判所や公証人役場など

《地域福祉権利擁護事業》判断能力の不十分な方に対して、福祉サービスの利用援助を基本に、社会保険料・公共料金・医療費・家賃の支払いなどの日常的な金銭の管理や、通帳や土地の権利証などの書類を預かってもらえるなど、自立生活が送れるよう支援するサービス。……地域の社会福祉協議会など
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●現状の成年後見制度上で、「医師の治療説明」に「後見人の同意」が「可能」かについて、私は未確認です。

Re: NHKニューズ〜社会 痴ほう症 必要治療受けられず

masa - 2003/11/13(Thu) 11:56

この問題を成年後見制度と絡めて論じてもほとんど解決には繋がらないと思います。かつて社会福祉士の掲示板で成年後見制度が論じられた中から学ばせていただいた考えを以下に一部引用させていただきます。

制限能力者の制度はそもそも、その人の「財産」を管理する制度であり、そのため改正民法も「身体への侵襲への同意権」は盛り込まれませんでした。ですから成年後見制度においても「医的侵襲を伴う医療行為については同意権はない」というのが一般的な解釈と思います。

例えば施設入所利用者で身寄りのない方の場合、緊急時に医行等が必要になったときの同意権については、成年後見制度の中で解決するのではなく「切迫性、一時性、不代替性」などの一般的な違法性阻却の要件が満たされる条件下において施設利用(入所)契約に基づく同意権の行使ということが考えられます。

しかしそもそも身寄りがあることによって「家族の同意権」だけを頼りにしているのはも根拠はありません。

今回の正しい医療行為が受けられない問題の背景には

1.患者自身が病識認知にかけ理解できないことから適切な治療方法があるにもかかわらず治療自体を拒否

2.患者自身が体調など診断に必要な身体状況を説明できないことから正しい診断自体ができず病気の発見さえも見逃すことがある

以上2点が大きいように思います。1については緊急性、必要性から医師自身が適切な治療を行う以外に方法はなく、仮に「誰も同意する人がいない」ことで手術はできないと逃げて、結局手術が受けられずに利用者が死亡した場合にも、医療機関は責任を問われることがあり得ましょう。

2のケースでは、成年後見制度はもっと効果がありませんね。患者の訴えによらず、いかに体調の変化を気づき、対応できるか、普段の生活に深く関っている関係者の対応と、医療関係者が痴呆のある方の診断や診療方法を研究していくことがまず第1歩だと思います。

手術同意を施設が求められたら

相談員A - 2003/11/13(Thu) 16:32

便乗質問させてください。

>1については緊急性、必要性から医師自身が適切な治療を行う以外に方法はなく

しかし医療機関からは実際、入院などの際も家族などの身元引受人がいない場合、施設が変わって身元引き受け書を書くことを求めてくる場合があり、それに応じないと入院自体が難しくなることがあり、やむなく施設長名で同意書を書く場合があります。後見人が医療行為については同意権がないとしたら、当然施設長にもありえないと思うのですが、この場合例えば、手術同意などで同意書への署名を行なってしまった場合、そのことで施設が責任を負うことはあるんでしょうか。そのような場合はどうしたらよいのでしょう。


Re: 手術同意を施設が求められたら

masa - 2003/11/13(Thu) 17:38

最近の状況としては、同意書は手術のためのインフォームドコンセントとしては意味があるものの医療過誤の免責に値するものではない、という認識が広がりつつあります。医療機関がそれにこだわっても、医療機関側の安心感にしか実際の効果としてはない、というのが今日的状況と思えます。

そうした意味からも施設としては医療機関に医学上の見地から本人にとっての最善の措置をとるよう求める以外なく、施設が本人に代わって同意をすることはできないのですがのですが、仮に医療機関側の態度が硬く問題解決が図れずやむなく施設側が同意書にサインしたとしても、そのこと自体は『法的に意味のない同意をしても施設側にはリスクは生じない』(東京都立川市・身寄りのない入所者のための施設の手引きより)という見解が示されていますし、また手術にミスがあって、利用者が亡くなった場合にも、トラブルになる可能性はありますが、しかし、手術ミスは医者の問題で、同意した職員の責任が問われることは、おそらくないでしょう。

Re: NHKニューズ〜社会 痴ほう症 必要治療受けられず

伊藤孝次- 2003/11/14(Fri) 08:03

NHKのニューズ原稿
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痴呆のお年寄りの治療をした医師の80パーセントが、治療を拒まれたり意思の確認ができなかったりした経験を持ち、痴呆のお年寄りが必要な治療を受けられないでいる可能性のあることが、医師や弁護士の調査で判りました。

この調査は、痴呆のお年寄りの権利を守るために活動している医師や弁護士の研究会が、全国の医師3200人にアンケート調査をしたもので、643人から回答がありました。

それによりますと、痴呆のお年寄りの治療をした際に、治療を拒まれたり意思の確認ができなかったりした経験があると答えた医師が、全体の81パーセントにのぼりました。

また、家族に治療の同意を得ようとした際、治療を拒まれたり費用や介護の負担を理由に、必要な治療に同意してもらえなかったりした経験のある医師も73パーセントいて、痴呆のお年寄りが、必要な治療を受けられないでいる可能性のあることが判りました。

こうした実態を受けて、医師の三分の二(2/3)が成年後見制度を見直して、後見人に医療に同意する資格を与えるべきだと考えていることも判り、研究会では今後お年寄りが必要な医療を受けられるよう、成年後見制度の充実を訴えていくことにしています。

管理者masa様の >この問題を成年後見制度と絡めて論じてもほとんど解決には繋がらないと思います。< 及び 同>2のケースでは、成年後見制度はもっと効果がありませんね。<(本引用は、当方に無理あり?) が故に ニューズ原稿>こうした実態を受けて、医師の三分の二(2/3)が成年後見制度を見直して、後見人に医療に同意する資格を与えるべきだと考えている< の指摘は、(2015年を見据えて)検討に値する方向性を示していると感じます。

「成年後見制度」は、介護保険制度を補完するために民法を一部改正したと、聞き及んでいます。当事者の一方である医師サイドの意向は、斟酌されて良いのではないでしょうか。医療行為について、痴呆高齢者の「後見人の同意権」を、将来に付与しても良いと考えます。

●介護保険施設サイド(特に介護老人福祉施設)の「施設利用(入所)契約に基づく同意権の行使」の解釈は、そうかもしれません。そうであれば一方、在宅サイド(@痴呆の独居高齢者や、A痴呆と向き合っている老・老家族で理解力が減少してきた介護者、そして一般に、B痴呆と向き合っている家族介護者など)では「同意(権)の行使」の解釈を、どのように考えたら良いのでしょうか?……本質問は、成年後見制度から逸脱しているかもしれません。

伊藤さんの質問にお答えします

masa - 2003/11/14(Fri) 09:41

まず家族の同意権についてお答えします。ちょうどインフルエンザワクチンの例が示されていますので、それに触れながら説明したほうが良いと思います。

何故、家族に同意権があるのか?本人の医的侵襲を伴う医療行為を家族が替わって同意できると言うことはどこにも根拠がありません。もし家族の意見が揃わなかったらどうするのか、等々、解決されていない問題は多くあります

インフルエンザについても同様で、予防接種法改正とともに出されたインフルエンザ予防接種ガイドラインでも『対象者の意思確認が最終的にできない場合は予防接種法に基づいた接種を行うことはできない』とされており、厳密に言えば家族の同意があっても本人意志の確認が取れない場合は法に基づく接種は出来ない、という見解も示されています。この場合は『痴呆症状があって正確な意思の確認が難しい場合などには、家族やかかりつけ医によって、特に慎重にご本人の接種意思の有無の確認を含め、接種適応を決定する必要があります』と示されているように家族の同意でなく、接種意志と適応の確認が実際には重視されているのです。

さて本題の成年後見制度の問題ですが、私は痴呆の方が適切な医療を受けられないという問題を、伊藤さんが言うように成年後見人に『医的侵襲を伴う医療行為』の同意権を付与することで解決しようとすることは、あまりにも短絡的であると考えます。問題解決どころか、医療機関の責任を不明確にして、救われない痴呆高齢者が逆にたくさんでてくるという問題を内包していることにおいて、反対という立場をとっています。

緊急時に医行為等が必要になったときの同意権については、成年後見制度の中で解決するのではなく、もっと一般的に柔軟に考えるべきである(一般原則を用いた解釈論にゆだねるべきである)と考えています。(民法改正時にも「身体への侵襲への同意権」は盛り込まなかったことは前述しています)

なぜなら本来、必要な医療を受ける権利は他者による同意を伴なわなくとも、人の生きる権利とともに基本的人権として備わっていると思うからで、同意者がいる、いないで判断されるべきでなく、『医的侵襲を伴う医療行為』はその行為を行う専門家が自らの責任、倫理観において専門的に判断されてしかるべきであると思うからです。

現状を鑑みた時、経済的状況から成年後見制度を利用できない痴呆高齢者もたくさんおられます。もし成年後見人に『医的侵襲を伴う医療行為』の同意権を与えたとしても、いったい全体の痴呆老人の何%の方がその制度を利用できるのでしょうか?利用できない方は同意者がいないとして必要な医療行為を行わなくて良い、という理由付けになる可能性があります。

医学上の見地から最善の方法をとるというのが重要であって、誰が同意するか、しないかという見地で議論することは結果的には救われない多くの弱者を生み出す最大要因ことになるということです。

特に成年後見制度の対象とならない痴呆でない方でも終末期には意思疎通が困難になり、そういう場合、適切な医療提供を専門職が責務として判断しないことには何の救いにもなりません。

繰り返しになりますが、そういう新たな社会的弱者を生み出さない為にも成年後見制度という特定制度で解決するのではなく、一般原則を用いた解釈論で解決すべきと思います。

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