特別養護老人ホーム 緑風園

 

(※解説2:身寄りのない施設入所者の手術同意)
手術や治療行為、その他の医療侵襲(以下、手術等と記します)については本人の同意(インフォームド・コンセント)が必要とされますが、本人に判断能力や意識がない場合に、医師は誰に対し説明し、誰から同意を得るべきかについては必ずしも明確にされていません。裁判例には家族に対し説明し、その同意を得るべきとする判例がありますが、身寄りのない方の場合において、本人が入所する施設を経営する法人や施設長に、本人に代わって同意を求めることは法的には無意味であると考えられています。従って、救急医療の場合と同様に、施設としては医療機関に対し、医学上の見地から本人にとって最善の措置をとるように求めるべきです。

ところで医療機関側から同意書の提出を求められる実際の現場においては、それでは解決が図れないことが多々あろうと思われます。その場合、法的に意味のない同意をしても施設にリスクは生じないので、本人のために緊急やむを得ない措置と割り切って施設側が同意書に署名するという対応があり得るかもしれません。しかし同意書には医療機関の医療過誤などの責任を免れさせる効力はない、というのが一般的な現状理解です。

また成年後見人が選任されている場合も、本人の手術等の同意権はないとするのが一般的見解です(反対意見もある)このことについては成年後見人に手術等の同意権を与えるべきだという議論もありますが(参照:成年後見人の医療行為同意の是非(痴呆高齢者の治療に関連して))このような問題は、交通事故など一時的に意識を失った場合にも生ずることであり、成年後見の特有の問題として論ずるのではなく、、もっと一般的に柔軟に考えるべきである(一般原則を用いた解釈論にゆだねるべきである)と考えています。つまり必要な医療を受ける権利は他者による同意を伴なわなくとも、人の生きる権利とともに基本的人権として備わっているという解釈から医学上の必要性から考えた最善の措置を行なう、という共通理解が必要に思いますし、現行でもそうした見地から施設側も医療機関に必要な手術等を求めるということが基本であると考えられます。

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